IFRSのポイント
column ifrs
第13回:IFRS導入の進めかた
IFRSへの移行プロセスにおいては、マネジメントや経理部門だけではなく、その他の部門等も含めた全社的な取組みが重要となってくる場合があります。
特に子会社へ展開する場合には、子会社の実務担当レベルでは当該変更に関する抵抗感があり、対応が消極的になりがちなので、親会社主導で巻き込んでいく姿勢が重要となってきます。
そのため、全社的な取組みを行なうためにも、移行フェーズを、大まかに3区分に分けて
第1期
・少人数の経理部門担当者による影響度調査
・経理部門を中心としたアクションプランの作成
第2期
・経理部門以外の事業部門との連携
・会計方針の策定、グループ会計方針書の作成
・データ収集方法の検討
第3期
・グループ展開、内部統制の構築
・IFRSによる財務諸表の作成
の形で進めて行くのが一般的です。
何事もそうですが、最初が肝心なのはIFRS導入についても変わりません。
特に影響度調査をしっかり行ない、網羅的にIFRSの論点とその重要性の洗い出しは行なう必要があります。その結果、その後の効率的なIFRS導入プロセスへと繋がっていきます。
そもそもIFRSを導入するか否かを判断するためには、影響度調査の結果を踏まえて、どのくらい会社の財務諸表にインパクトがあるのかを知る必要があります。
その結果、IFRS導入をする方向で判断した場合には、金額的に重要な会計処理や、対応に時間が掛かりそうな項目についてなるべく早めに対応していくことが大事になってきます。
その際には、現行の日本基準における会計基準とIFRSで適用すべき会計基準の差異を押さえた上で、
・現状の会計処理がIFRSでも認められるのか
・変更する場合は、どのような会計処理を行なうべきか
・その際には、現状の内部統制や管理状況で対応できるのか
・全体的な手間やコストの観点で、システム変更をすべきか
という観点で、検討することになります。
例えば、収益認識基準、減価償却費、連結範囲や連結子会社の決算期の統一については、場合によっては、業務プロセスや内部統制の見直しが伴うことがあるので、対応する優先順位は高いものと思われます。
先行事例をみると、準備期間は1~3年程度が多いようです。基本的には、準備期間の長さは、システム対応をどこまで実施するかによって大きく変わってきます。