IFRSのポイント

column ifrs

第15回:人材教育・確保

IFRS下における経理部員については、相応の知識や能力が求められてくることになります。

 

IFRSの基準内容についての理解もさることながら、原則主義のもとで会計処理を検討・判断していく能力も問われてきます。

 

これまでは比較的詳細な会計基準等が定められていたので、あまり深く検討をしなくても実施すべき会計処理を決定することが出来ました。IFRS下においては、IFRSの原則に定められた枠組みの中で、会社が行なうべき会計処理の検討や判断を行なう必要が生じて来ます。
特に、会社の実態や経営方針についてある程度精通していないと、実務的な会計処理の判断をすることは難しいです。

 

IFRSのメリットを最大限に活用するためには、企業側も自らのビジネスモデルを分析し、より実態に即した会計処理を実施、および開示していくことが重要となってきます。

 

特に導入初年度については、外部アドバイザー等を利用して対応する会社は多いと思います。
その場合であっても、実際に行なった日本基準からIFRSへの組替内容については、その全てをある程度理解し説明できる社内の人材は必要不可欠だと思われます。

 

そもそも会社決算の内容を理解し説明できる人材は必要不可欠だと思われますし、今後も継続的にIFRSを適用するにあたっては初年度の内容を理解していなければ、2年目以降も適用することが出来ません。
会社の事業も刻々と変化していくため、初年度の内容をそのまま2年目以降も継続適用することは考えられず、初年度の内容をベースに2年目以降にも応用展開できる人材が望まれます。

 

また、会社の規模によっては、特定の個人のみにIFRS対応のノウハウが集約してしまう場合が考えられます。
何事もそうですが、特定の個人ひとりにノウハウや業務が集約してしまうと、内部統制上も望ましくなく、かつ、不測の事態に対処する事が出来ないことになり、会社にとっての大きなリスクとなり得ます。
従って、なるべく複数の人材を教育および確保していくということも重要となってきます。

 

そのような人材を子会社においても教育および確保していくことは、会社の状況によっては非常に困難なことかも知れません。
その意味では、親会社にて人材教育および確保を集中的に行ない、その人材が連結管理や連結決算作業等を通じて、子会社をバックアップする体制を構築することが有用です。