IFRSのポイント
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第16回:外部専門家の利用
IFRSを導入する際には、社内の人材のみで対応出来れば一番理想的であることは言うまでもありません。
但し、その際には、社内にある程度IFRSについての知識やノウハウを持っている人材が必要不可欠となります。
IFRSの基準をイチから学ぶのも大変なので、ある程度会社の実態や経営方針についても理解して貰う前提で、外部アドバイザーを利用するケースも十分に考えられます。
例えば、IFRSを導入するか否かを検討している段階においては、IFRSを導入することのメリットとデメリットを総合的に勘案して判断する必要があります。そのためには、一定のIFRSに関する知見等が必要とされます。
IFRSを導入することを決定しているのであれば、社内的にそのような人材を確保・教育することも選択肢に挙げられますが、導入を判断するという段階で、そのような人材投資を行なうことも大きなコストになります。
従って、そのような場合には、とりあえず外部アドバイザーを利用してみるのも有用かも知れません。
金融庁が2015年に公表した「IFRS適用レポート」によれば、IFRSを導入した65社中59社が外部アドバイザーを利用しているそうです。
外部アドバイザーとしては、
・監査を担当している監査法人
(もしくは関連コンサルティング会社)
・それ以外のアドバイザー
を選定するケースがあります。
前者のメリットとして、以下のような事項が挙げられています。
・企業に対する理解がスムーズである。
・会計論点について協議がし易い。
・論点のある会計処理の選択で確定し易い。
後者のメリットとして、以下のような事項が挙げられています。
・監査法人が教えてもらうのではなく、一体となってルールを作り上げるスタンス
・企業側の視点で考えてくれる
・セカンドオピニオンを得ることが出来る
いずれにしても、外部アドバイザーを利用するにあたっては、あまりに依存し過ぎないようにご留意下さい。
IFRSの原則主義の下では、会社実態を反映した会計処理を適用するのみならず、会社の考え方や経営方針を会計方針に反映させる必要があります。
その点では、外部アドバイザーに全面的に依存すると、本来あるべきIFRSの姿から乖離してしまう恐れが生じます。
また、IFRSについては、その導入時点のみならず、その後も継続的に適用していく必要があります。従って、その後のIFRSの改訂や、新しいビジネスを開始することによる会計処理の検討についても、しっかりとキャッチアップしていく必要があります。
そのためには、社内においてもある程度のIFRSの知見を有した人材を確保しておく必要があります。外部アドバイザーに全面的に依存してしまうと、そのような人材が育たなくなってしまう恐れが生じます。