IFRSのポイント
column ifrs
第17回:マネジメント主導
実際の導入事例を見ると、大きく分けてトップダウン方式とボトムアップ方式のそれぞれあるようです。
トップダウン方式:IFRSへの移行提案にCEOやCFOが直接関与する
ボトムアップ方式:経理部門が中心となってIFRSへの移行を提案
どちらの方式が正解という訳ではありませんが、重要な事はIFRSへの移行プロセスにおいては、マナジメントや経理部門だけではなく、その他の部門等も含めた全社的な取組みが重要になる場合があるということにあります。
その点では、トップダウン方式のアプローチが有効であるものと考えます。
規則主義ではなく原則主義である結果、会社の実態(経営方針)が、会計処理(会計方針)に反映されることになります。
従って、IFRSを導入する際には、会計方針へ展開できるように、経営方針の棚卸しをある程度行なっていた方が、有意義なIFRS対応が出来るものと考えられます。
具体的には、以下のような経営方針は重要となってきます。
・販売方針
・研究開発方針
・購買方針
・在庫管理方針
例えば、販売方針の場合は、「一般市場に販売する形」をとるのか、「お得意先の注文を受けて販売する形」をとるのかの観点で方針を明確にすることで、収益認識基準の考え方に展開することが出来ます。もし後者なら、検収基準となります。
ここで重要なのは、会社の販売方針から会計方針へ展開するプロセスです。
また、逆の例でいえば、会社の方針としては出荷基準で行なうことが実態であると考えているにも関わらず、現状の販売契約の内容では出荷基準が認められない場合には、現状の販売契約の内容自体を変更することもあり得ます。
その際には、顧客を巻き込むことが避けられないため、何らかのビジネスリスクを負う事になります。そうなってくると、経営判断のもと対応方法やレベル感を決める必要が出て来ます。
但し、そのような契約変更が達成された場合には、IFRS対応というよりは、それまでの契約と比べて会社のリスク管理の観点からはより望ましい、かつ実態を反映した内容の契約を締結出来たと言えるかも知れません。
いずれにしても、有意義な形で会計方針を決定するためには、経営方針の担い手である経営者の果たす役割は大きいと思われます。