IFRSのポイント

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第3回:資産・負債アプローチ

会計上の利益を計算するアプローチの観点から、日本基準は収益・費用アプローチ、IFRSは資産・負債アプローチを採用していると言われます。このため、IFRSはBS重視であり、日本基準はPL重視といわれることがあります。

 

収益・費用アプローチにおいては、まず収益と費用を定義し、算定された収益から費用を控除した残額が利益であるとされます。一方、資産・負債アプローチにおいては、まず資産と負債を定義し、収益と費用はそれらの変動として表わすことで利益が計算されることになります。このため、公正価値による評価がとりわけ重視されることになります。

 

IFRSが資産・負債アプローチを重視していることから、IFRSはBSを重視しており、経営成績を示す包括利益計算書が、前年度と当年度のBSの変動を示しているとされてきました。
しかし、IASBが改訂した「財務報告のための概念フレームワーク2010」においては、財務諸表の利用者に有用な情報、すなわち、将来の正味のキャッシュインフローの見通しに役立つ情報は財政状態を示す計算書だけではなく、経営成績を示す計算書にも示されるとし、それぞれの計算書が補完的な関係にあり、重要な計算書であるとする立場を示しています。